MCORの主力事業「MBD」について語ろう
システム開発をはじめ、多岐にわたるIT技術を駆使しながら、ものづくり業界をサポートし続けているMCOR。手がける幅広いITソリューションの中から、「MBD」にスポットを当ててご紹介します。
(人物紹介)
解説者:技術本部 PLM技術部 部長 岩瀬雅人(写真左)
技術本部 MBD技術部 マネージャ 黒川和彦(写真右)
質問者:若手社員
システム開発をはじめ、多岐にわたるIT技術を駆使しながら、ものづくり業界をサポートし続けているMCOR。手がける幅広いITソリューションの中から、「MBD」にスポットを当ててご紹介します。
(人物紹介)
解説者:技術本部 PLM技術部 部長 岩瀬雅人(写真左)
技術本部 MBD技術部 マネージャ 黒川和彦(写真右)
質問者:若手社員
弊社が行っているのはIT事業。その中でも、ものづくり業界での「エンジニアリングIT」を手がけています。創業当時から様々なシステム開発と運用を行っていて、最近特に力を入れているのは「MBD」「PLM」になります。
本日は、「MBD」にスポットということではありますが、少しだけ「PLM」に触れておきますと、PLMは「プロダクト・ライフサイクル・マネジメント」の略です。ものづくりの工程には、様々なプロセス、データ、ドキュメントが存在します。製品の企画に始まり、仕様を決めて設計し、製造、テストを行って世の中にリリースする。製品が産声をあげてから最後まで、その一連の工程を支える仕組みとして、PLMがあるんですね。
一つ例を挙げましょう。旧来の車や飛行機は、いろんな動きを純粋なメカニクスで制御していました。例えばマニュアル車のシフトチェンジでは、シフトレバーを人の手が動かすと、シフトレバーにダイレクトにつながったメカ構造がドライブトレインのギアをチェンジさせていました。
それが今では、ほとんどが電子制御、すなわちメカトロニクスになっている。バイワイヤともいいますが、シフトが1速から2速に替わるとその信号を受け取った装置が切り替え指示を行う。
電子制御のためのソフトウェア開発は、今まではC言語を使っていたんですが、どんどん複雑化して今や驚異的なステップ数になっています。
例えば高級車に使われているプログラムは、1億ステップを超えていると聞いています。一説にはWindowsや戦闘機に搭載されている制御ソフトウェアのステップ数を超えているとも言われています。
たった1台の車でそういう状況で、さらに各国の排ガス規制等の法規の対応や、エンジンの排気量違い、オプション装備の有無など、ちょっとした仕様違いだけでも膨大な検証ボリュームになってしまう。もう、人間がすべてを確認しようとしてもできない世界になっているんですよ。
そこで新たに考えられたのが、「モデル」という考え方。制御理論や数式をブロック図によって表現した「モデル」を使いシミュレーションを行うことで、製品が世にない段階から、品質、完成度を上げていく。それがMBD、モデルベース開発という開発手法です。
ブロック図は人間が視覚的に判断できるもので、まずはそこで確認します。シミュレーションがうまくいけば、モデルからプログラムは自動生成されます。最終的にはプログラム言語に替わるんですが、その前段階をモデルで行うことで、仕事のやり方も効率も大きく変わったというわけです。
モデルベースの考え方は、対象を抽象化するということ。そうすることで文章の様な曖昧さがなくなり、どの工程、どの立場の人でも共通の認識を持って、業務を進める事が出来ます。また工程が進むごとに詳細度が上がり、具体的な製品に近づいていきます。
一例として占いなどでよくある、フローチャートを想像してみてください。質問に対して「はい」「いいえ」で答えていきますよね。モデルベースのツールでは、視覚的にはそのフローチャートのイメージをそのまま作りこんでいく事(=モデリング)で、プログラム(=モデル)が出来上がります。
モデルベースの考え方は、元々は宇宙開発で適用されました。宇宙船が完成する前から宇宙に飛ばしてテストするなんて不可能ですから、仮想シミュレーションをして計算上どうなるかを考えていく。その先にあるのがモデルベースなんですよ。
主なものは、ハイブリッド車や電気自動車のバッテリー制御や、トランスミッション制御です。
ハイブリッド車のバッテリーはリチウム電池を使っていますが、バッテリー状態を安全にキープしつつ快適に走らせることをコントロールしています。
トランスミッションは、ドライバーがその時どのくらいアクセルを踏んでいるか、望んでいる状態を判断して制御していきます。
それから建設機械、ショベルカーのアーム制御なども携わっています。たとえばショベルカーで、複雑な操作を必要としない、誰がやっても同じように土を掘ったりできる制御ソフト開発など、です。
レース用オートバイのコントローラーも関わっています。走行時の姿勢制御や、燃料制御などですね。
あらかじめサーキットのコース特性をすべて把握しておいて、ドライバーがどこを走っている時はどんな制御が的確かというのを判断しながら、制御ソフトに組み込んでいくというものです。
MBDのメリットは、先にも話したように、あまりにも膨大・複雑になりすぎた要件や仕様、最終的なソースコードを簡略化するということが一つ。
そしてもう一つは、実物がなくてもシミュレーションできるということ。デジタル上のシミュレーションはもちろん、実際の製品を模した機械でもシミュレーションして、徐々に本物の製品にシフトしながらやっていく。そのすべてに、MBDが関わっているんです。
現在は、自動車の様々な電子制御がMBDでできつつある段階です。大手自動車メーカーが先導しているので、自動車業界のサプライヤー各社は同じ方向に動くと思います。
また世界的な「インダストリー5.0」の流れや、経済産業省が主導する次代の戦略などもあり、MBDへの関心はどんどん大きくなっています。
IoT(モノのインターネット)で人とものをつなぐ場合でも、その制御コントローラーをMBDを使って作りましょうという動きが増えています。
大学でも工学系の学部で制御関連を研究しているところは、MBDを取り入れているところはありますね。
MathWorks社のMATLABというソフトウェアを使用している学生さんが多いですが、弊社でもMATLABを使う機会はたくさんあります。
弊社でも、MBDをより多くの人に知って・使ってもらうための取り組みを行っています。
MBD担当者のためのEラーニング教育や、自動車メーカーの講師を招いてのMBDアカデミー開催など、これからMBDを使おうという会社の方々を対象に実施しています。
また、弊社の新卒社員の教育にも活用しています。
理系の学生さんにしてみれば、専攻してきた経験や技術を実際に先端分野で生かすことができます。
ただ文系の学生さんにしても、「こういうことがやりたいな」というイメージとその作法がわかっていけば、制御コントローラーだって作れます。それをアシストしてくれるのがMBDなので、あまり苦手意識を持たなくても大丈夫ですよ。
実際に弊社でも、文系出身者でMBDを担当してもらっている人は何人もいますね。まったくの畑違いからやってきて、「MBDに興味がある」ということで勉強してもらいながらやっている人もいます。
必要な知識や技術は、入社後にきちんと教育の機会を設けてやっていただきますので、本当にあまり心配することはありません。 一番大事なのは、それが面白いから自分も関わりたい!と思ってくれることですね。
弊社はメーカーではありませんが、お客様のものづくりを支援していく仕事です。やがて自分たちが携わった製品が世に出ていく喜びを感じたり、様々な分野に関われるチャンスは多いので、興味がある方はぜひチャレンジしてほしいですね。
失敗を恐れずにチャレンジを続けることで、誰にも負けないスキルとマインドを持ち、
何事にも自信をもって行動できる技術者になってもらいたいと考えています。
MCORはIT技術の会社ですので、技術を有する「人」が最も大切です。
社員それぞれが持つ技術をMCORという技術の塊にして、
それをしっかり成長させ、お客様や社会に貢献する。
その結果として社員の暮らしが豊かになる。
そんな良い循環を目指して、私も皆さんを全力でサポートしたいと思います。
ぜひ、私たちと一緒にチャレンジしましょう!
代表取締役社長 太田 晃
新入社員推移
13.5日
平均有休取得日数
14.3年
平均勤続年数
39.4歳
平均年齢
年代別構成比
男女比
14.9時間/月
平均残業時間